先日お客様より解体工事業を新規で取得したいとのご要望がありました。私の備忘録もかねて解体工事業の要件を詳しく列記してみたいと思います。

解体工事業の定義

 最初少しややこしい話で申し訳ありませんが、そもそも解体工事業とはどういう工事をやる工事なのか?と考えました。更地に何か建築物を建てるならいざ知らず、今の日本そうそう更地などないので、既存の建築物や構築物を壊してから建設を始めるのが普通です。そうなると、大半の建設業者が解体工事業を取得しなければならなくなります。でも、それもあり得ない話なので「解体工事業」の定義を調べてみました。

 まずは、国土交通省の告示を確認すると、平成28年6月1日以前の告示には

建設業の種類

建設工事の内容

(告示)

建設工事の例示

(ガイドライン)

とび・土工コンクリート工事

イ.足場の組立、機械器具・建設機械等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立、工作物の解体等を行う工事

ロ~ハは略

とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄筋組立工事、コンクリートブロック据付け工事、工作物解体工事

ロ~ハは略

となっていました。

それが、28年6月1日以降は次のように改正されました。

建設業の種類

建設工事の内容

(告示)

建設工事の例示

(ガイドライン)

建設工事の区分の考え方

(ガイドライン)

とび・土工・コンクリート工事

イ.足場の組立、機械器具・建設機械等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立等を行う工事

ロ~ハは略

とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄筋組立工事、コンクリートブロック据付け工事

ロ~ハは略

解体工事 工作物の解体を行う工事 工作物解体工事 それぞれの専門工事において建設 される目的物について、それのみを 解体する工事は各専門工事に該当 する。総合的な企画、指導、調整の もとに土木工作物や建築物を解体 する工事は、それぞれ土木一式工 事や建築一式工事に該当する。

 ますます難しいですね。要するに簡単に例を上げてみると

ブロック塀の工事を請負った業者が以前の古いブロック塀を取り壊して新しいブロック塀を造る➡解体工事業の許可は不要

エアコンの取り付け業者が以前の古いエアコンを取り外す➡解体工事業の許可は不要

ということで建設工事区分の考え方で「それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事」は以上の考え方でよいかと思います。

それでは、「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事」とはどんな工事でしょうか?
この定義は実は「土木工事一式」「建築工事一式」の建設工事の内容と全く同じ文言が使われています。と考えると次のような解釈が考えられます。

家を一棟まるごと受注を受けた建築業者が以前あった家を解体して家を建てる➡建築一式工事だけで足り解体工事業は不要です。

上記の業者から下請けとして解体工事を依頼された業者解体工事業の許可が必要です。

といった解釈になるので少なくとも解体専門でやっているような建設業者さんは解体工事業の許可が必要になってきます。

それでは、既存の業者の経過措置は後回しにさせてもらって、今回ご相談を受けた新規許可について詳しく見ていきます。

経営業務の管理責任者(経管)

まずは経管の定義から確認します。

  1. 「解体工事業」について、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
  2. 改正施行日以前の「とび・土工・コンクリート工事」について、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者。
  3. 上記以外の建設業で76年以上の建設業の経営業務の管理責任者としての経験を有する者。

今まで「解体工事業」という業種はなかったので平成28年時点では、当然に5年間以上の「解体工事業」の経験はありません。ですから、現時点では2または3の要件を満たすことが必要になります。

ここまでで結構長くなってしまいましたので以降の条件は次回にさせていただきます。

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