どの業種の建設業許可を取りたいのかは、申請の前にじっくりと検討する必要があります。
どの業種の建設業許可の業種が取れるのか
経営業務の管理責任者(経管)の問題
5年以上の経験でその携わっている業種についての経営業務の管理責任者(経管)になれます。複数の業種で建設業許可を取るには、経営業務の管理責任者(経管)は複数の業種に実際に携わっていなくてはいけませんし、それを証明する資料を提出しなければいけません。ところが、7年の経験を持っていれば業種に関係なく複数の業種の経営業務の管理責任者になることは可能です。
もしあなたの会社経営業務管理責任者(経管)の候補がようやく5年経過したとします。できればAという業種とBという業種の複数の業種の建設業許可を取りたい場合、
①A業種・B業種ともに実際に工事を5年間行ってきた⇒書類の枚数は増えますが複数の建設業許可の取得は可能です。
②A業種については5年間経過したが、B業種については5年間に満たない。もしくはこれから新たにやっていきたい。⇒残念ながら今の時点ではB業種については取得できません。
ここで②の場合はよく考えましょう。どうしても、今すぐA業種だけの許可を取りたい場合は、もちろんA業種を取得しますが、2年間経てばB業種を追加することが可能です。
知事許可の一般建設業許可を例にとると、収入証紙は初年度で新規許可の9万円かかります。2年後通常だと「業種追加+更新」で10万円かかります。更に一度も更新されていない状態での業種追加には、経管・専技・財産的要件などは新規許可と同じ要件をクリアしなくてはなりません。
これに対して経営業務の管理責任者(経管)候補の役員が7年以上の経験があれば、その業種に携わっていなくても複数の業種の経営業務の管理責任者(経管)になることが可能です。
専任技術者の問題
複数の建設業許可を取得するには、それぞれの専任技術者を配置しなければなりません。仮に一人の人が複数の業種の専任技術者を兼ねる場合には、それに対応する資格を持っていれば問題ありません。ただし、経験年数だけで取ろうとすると基本は1業種10年の実務経験が必要になります。(例外はあります。)ですから、3業種の建設業許可を一人の人が専任技術者になり同時に取得するためにはそれぞれ10年、つまり最低でも30年の実務経験が必要になってきます。
業種選びのポイント
以上の条件を完全にクリアすれば複数業種の取得は問題ないのですが、それが難しい時には自社の技術力、営業内容を十分考慮して選びましょう。
たとえば、リフォーム会社が住宅内のクロスや床材の張替えを行うとすれば「内装仕上工事」です。同時にこの会社が証明関係のリフォームを行うとすれば「電気工事」に該当します。厨房設備の改修配管を行いたいならば「管工事」の許可も必要です。外壁の塗り替え工事を同時に受注すれば「塗装工事」に該当します。
それでは、この会社がすべて許可をすべて取得すればよいのでしょうか。この場合は、「わが社がどの業種を主にしたいか」を考えましょう。「内装仕上工事」が主であって「電気工事」「管工事」「塗装工事」は下請けに出す場合は「内装仕上工事」の許可を取得していれば十分営業ができます。
また、工事内容によっては、他の業種と重複するものもあります。たとえば、外壁の「左官工事」を行っている会社が同時に防水効果のあるモルタルを使って「防水工事」を合わせて施工するような場合です。この場合は「左官工事」か「防水工事」のどちらかの許可を取得していればよく両方の許可を取得する必要はありません。