「うちは今まで契約書なんか固いことやったことないから」とか「わざわざ面倒。お客さんもよく知っている人が大半だし。」などといった理由で契約書をむすばないケースがあります。
契約書はなぜ必要
工事が全く問題なく、お客さんも約束通りにお金を支払ってくれれば問題ありません。しかし何かトラブルがあったり、そもそも施主がお金を払わなったりしたときに証拠として抜群の威力を持ちます。「そんな裁判までして」と考えるかもしれませんが、逆に契約書がしっかり備わっていれば裁判になれば不利なのが分かっている相手は裁判までしないで払ってくれるでしょう。また、施主が破産や倒産になったときにも債権者として契約書があるかないかで、大きな違いがあります。トラブルがなくてもしっかりした契約書を事前に結ぶことにより、お客さんからは「しっかりした業者さんだな」と認めてもらい安心して工事を任せられるようになります。
また、建設業許可の新規や更新の時に請負契約書がきっちりそろっていれば、すんなり審査を通ることになります。
契約書に記載するポイント
契約書に記載するポイントは以下の通りです。
- 工事内容
- 請負代金の額
- 工期(着工日と完成日)
- 前払金や出来高払金の支払時期、方法
- 工期や請負代金の変更とそれにともなう損害負担金などの算定方法
- 天災や不可抗力による変更とそれにともなう損害負担金などの算定方法
- 価格変動による請負代金、工事内容の変更
- 第三者への損害賠償の負担
- 発注者の資材提供、機械貸与を行うときの内容、方法
- 検査と引渡し時期
- 完成後の請負代金の支払時期、方法
- 工事の目的物の瑕疵担保責任または当該責任履行に係る保証保険契約の締結、その他の処置に関する内容
- 履行遅滞、債務不履行にともなう遅延利息などの損害金
- 契約に関する紛争の解決方法
契約書の雛形
工事請負契約書はいくつかの雛形がありますので、それをもとに作成すると便利です。また、一度じっくり見て自社独自の契約書を作成して備えおくと良いかもしれません。
契約書の雛形がダウンロードできるページのリンクを張っておきます。通常の工事なら全建総連のもので十分です。
印鑑について
契約書には印鑑を押しますが、会社・個人とも印鑑登録のあるもの(実印)が望ましい。先方も実印でお願いしたいところですが、それが無理なら注文者の住所と名前の個所を自筆で記入してもらいましょう。
閉じ方は、二通りあり単にホチキスなどで止める場合には、各ページに契約者の欄に押した印鑑と同じ印を割り印します。
ただし、枚数が多いとたいへんなのでその場合は製本して表か裏に割り印を一つずつ押します。
製本の仕方は最初にホチキスで閉じてその上から製本テープを張り付けます。
印紙について
請負契約書には収入印紙を貼る必要があります。その額は請負代金により異なります。
契約書に記載された契約金額 | 印紙 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円を超え200万円以下 | 400円 |
200万円を超え300万円以下 | 1,000円 |
300万円を超え500万円以下 | 2,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 6万円 |
印紙には必ず割り印を押しましょう。契約書は必ず2部作成が必要ですが、印紙を貼るのは自社で保管用のもの。お客さんが保管するものについては、先方で印紙を貼る義務があります。
また、印紙は200円程度のものならコンビニでも置いていますが、高額なものは郵便局で売っています。